ゴムは「寒さ」に弱い材料?
冬になると、タイヤが硬くて、グリップしないので路面で滑るという現象が起きます。
特に夏タイヤは、氷の上でプラスチックみたいになります。
ではなぜ、ゴムが硬くなるのでしょうか?
解説していきます。
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目次
ずばり結論は
まず結論です。
ゴムの柔らかさは
「分子が動けること」で成立している
のです。
寒くなると分子が動けなくなるため、硬くなります。
一言でいうとこんな感じです。
もう少し詳しく見ていきましょう。
ゴムは「分子の運動」で柔らかい
ゴムの内部には
ぐちゃぐちゃに絡まった長い分子鎖(ランダムコイル)があります。
常温では分子鎖が活発に動けるため、
曲がったり、伸びたり、戻ったりできます。
これがゴムの弾性で、柔らかさを感じられるのです。
低温では何が起きるのか
本題はここからです。
✔ 分子運動が止まり始める
温度が下がると分子の動きが鈍り、分子鎖が動きづらくなります。
すると、
柔らかいゴム質
↓ 冷えて分子鎖が動けない
硬いゴム質
こんな感じでゴムらしさが消失してしまいます。
「ガラス転移」が起きる
この現象を、
ガラス転移
と呼びます。
ガラス転移温度(Tg)
ゴムには、「ある温度を下回ると急激に硬くなる温度」があります。
これが
ガラス転移温度(Tg)
です。
ガラス転移温度(Tg)以上の時は
分子が動けるのでゴム状態は柔らかいですが
ゴムがガラス転移温度(Tg)以下の時は
分子運動が停止してしまい、ガラスのように硬くなってしまいます。
だから、冬タイヤはTgが低くなるように設計されたゴムを使用しています。
夏タイヤが冬に危険な理由
言わずもがなとは思いますが、夏タイヤは、高温性能と摩耗耐久を重視しています。
そのため、比較的硬めのゴムを使っています。
ただし、冬になるとTgに近づくため硬化、路面追従性低下してしまい、グリップを失いとても危険です。
なぜ硬いと滑るのか
タイヤのグリップは、路面の細かい凹凸に食いつくことで生まれます。
柔らかいタイヤは路面に密着しますが、硬すぎるタイヤは凹凸に追従できません。
接触面積が低下し、摩擦が低下。結果滑ることになります。
スタッドレスタイヤはなぜ柔らかいのか
スタッドレスタイヤのゴムは、低温でも分子が動ける配合になっています。
つまりガラス転移温度(Tg)を低く設計しているのです。
そういうゴムは寒くても柔らかい状態になります。
なぜ冬タイヤは減りやすいのか
逆に夏になると、冬タイヤは柔らかすぎるので
発熱が増加したり摩耗がはげしくなったりします。
だから減りやすいのです。
タイヤは「温度で性格が変わる」
ここが本質です。
タイヤは単なるゴムではなく、
温度に合わせて設計された高分子材料です。
つまり、夏用冬用で全然違う材料といっても過言ではないと思います。
設計者視点で見ると面白いことも
金属は、温度で少し硬さが変化する程度ですが、
ゴムは、温度で材料の性質そのものが変わるレベルです。
ゴムを使った製品を開発するときには覚えておきたい内容です。
まとめ
タイヤが冬に硬くなる理由:
- ゴムの柔らかさは分子運動で成立
- 低温で分子が動けなくなる
- ガラス転移で硬化
- 路面追従性低下
タイヤは「黒いゴム」ではない。「温度で性格が変わる高分子構造体」である。
また、「夏タイヤが冬に滑るのは、ゴムだからではなく、ゴムでなくなるからである。」
設計で必要な知識などの記事はこちらにもたくさんあるのでよろしければ見ていってください!

