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【知的財産管理技能検定1級対策】米国特許法の重要ポイントを解説!日本との違いも比較

はじめに

知的財産管理技能検定1級(特許専門業務)の勉強をしていて、良い参考書に出会えなかったのでこれから勉強を始める方へ有益な情報になればと思います。

1級の試験では日本の特許法だけでなく、米国特許法についても出題されます。

でも

  • 「AIAって何?」
  • 「IDSって日本にもある制度?」
  • 「CIPと分割出願の違いが分からない」

と私は初めて聞く単語に困惑してしまいました。

そこで本記事では、試験で頻出の米国特許法について、日本法との違いを交えながらわかりやすく解説します。


1. 米国も現在は「先願主義」

昔の米国は「先発明主義」を採用していました。

つまり、先に発明した人が特許を取得できる制度です。

しかし、2013年に施行された AIA(America Invents Act) により、現在は日本と同じ**先願主義(First Inventor to File)**へ移行しました。

試験でのポイント

  • 昔:先発明主義
  • 現在:先願主義

この変更は非常に重要です。


2. グレースピリオド(Grace Period)

日本には「新規性喪失の例外」があります。

米国にも同様の制度がありますが、日本より広く保護される場合があります。

例えば、発明者自身が公開した内容については、一定期間内であれば特許性が維持されます。

また、米国では発明者の公開内容を見た第三者が先に出願した場合でも、一定の条件下では発明者が保護される可能性があります。

日本との違い

日本米国
新規性喪失の例外グレースピリオド
公開から1年以内の出願で救済公開から1年間保護される場面があり、第三者出願への影響も日本より広い場合がある

試験では、「日本よりも保護範囲が広い制度である」という点を押さえておきましょう。

日本では第三者が発明者の公開内容を見て先に出願した場合では新規性の欠如で拒絶される可能性が高いですが、米国ではグレースピリオド自体で保護されるイメージです。


3. IDS(Information Disclosure Statement)

IDSは、日本には存在しない制度です。

出願人や代理人は、自分が知っている重要な先行技術を米国特許商標庁(USPTO)へ提出する必要があります。

例えば、

  • 先行特許
  • 論文
  • 他国での審査結果

などが対象となります。

なぜ重要なのか?

重要な先行技術を故意に提出しなかった場合、後から特許権の行使に影響を与える可能性があります。

そのため、米国では非常に重要な制度として位置付けられています。


4. Duty of Candor(誠実義務)

これも日本にはない考え方です。

発明者や代理人、出願人はUSPTO(アメリカ合衆国特許商標庁)に対して誠実に対応しなければなりません。

先行技術を意図的に隠したり、虚偽の説明をしたりすると、大きな不利益を受ける可能性があります。

IDSとあわせて覚えておきたいポイントです。


5. Provisional Application(仮出願)

日本には存在しない制度です。

仮出願では、

  • 請求項を用意しなくても出願できる場合がある
  • 出願日を早く確保できる
  • 「Patent Pending」と表示できる

などのメリットがあります。

スタートアップ企業などが早期に権利化へ向けた動きを始める際によく利用されています。


6. Continuation・Divisional・CIPの違い

米国では、最初の出願を基に複数の出願制度があります。

Continuation(継続出願)

同じ明細書を使い、異なる請求項で出願する制度です。

日本にはContinuationそのものはありません。

似た制度として、分割出願、補正がありますが

「同じ明細書で請求項だけ変えて何度も出願する」という制度はありません。

Divisional(分割出願)

審査官から「一つの出願に複数の発明が含まれている」と指摘された場合などに、発明を分けて出願します。

日本の分割出願とよく似た制度です。

CIP(Continuation-in-Part)

元の明細書に新しい内容を追加できる制度です。

ただし、追加した部分については、新たな出願日が基準となります。

日本にはこの制度がないため、試験でも比較問題として出題されやすいポイントです。

項目ContinuationDivisionalCIP
新規事項追加××
明細書同じ同じ追加可能
目的請求項を変えて再出願発明を分割新しい技術を追加
出願日親出願を承継親出願を承継追加部分は新しい出願日

7. 特許期間

米国の特許期間は、原則として出願日から20年です。

これは日本と同じです。

一方で、USPTO側の審査遅延など一定の場合には、**Patent Term Adjustment(PTA)**により特許期間が延長されることがあります。

日本にも延長期間はありますが、制度が違います。

日本にも特許権の存続期間延長登録制度があります(特許法67条の2)。

ただし、これは医薬品、農薬など、

販売承認などの行政手続によって特許発明を実施できなかった期間を補償する制度です。

つまり、

日本の延長制度は「行政手続による実施不能期間」の補償であり、

米国のPTAは「特許庁の審査遅延」の補償です。

さらに米国には、医薬品などを対象とした**Patent Term Extension(PTE)**もあり、これは日本の延長制度に近いものです。

制度延長理由
米国 PTAUSPTOの審査遅延
米国 PTE医薬品等の承認審査による実施不能期間
日本 特許法67条の2医薬品等の承認審査による実施不能期間

1級で覚えるべきポイント

米国にはPTAとPTEという2種類の延長制度がある」ことを区別できると、外国法の比較問題で非常に有利になります。

  • PTA = 特許庁(USPTO)の遅延を補償
  • PTE = 行政上の承認待ち期間を補償

8. 特許適格性(Patent Eligibility)

米国では、すべてのアイデアが特許になるわけではありません。

例えば、

  • 自然法則
  • 自然現象
  • 抽象的なアイデア

などは、原則として特許の対象になりません。

日本は「発明」に該当するかを重視し、米国は「特許適格性(Patent Eligibility)」をより厳しく判断するという違いがあります。

日本でも自然法則そのものは特許になりません。

しかし応用した装置や方法なら比較的認められます。

AIやソフトウェア関連の発明では、この論点が問題となることが多く、試験でも基本的な考え方を押さえておくことが重要です。

項目日本米国
自然法則××
数学式××
AI比較的広い101条で厳しく審査
ソフトウェア技術性があれば○抽象的アイデアなら×
ビジネス方法システムなら○もある※Alice判決以降かなり厳しい

※Alice社は、コンピュータを使って金融取引のリスクを管理する方法について特許を取得していました。

CLS Bankは、「これは単なる金融のアイデアをコンピュータで実行しているだけだ」と主張しました。

米国最高裁は、抽象的アイデア(Abstract Idea)をコンピュータで実行するだけでは、特許適格性(101条)は認められない。

と判断しました。

つまり、

「コンピュータを使っている」だけでは特許にならないということです。

日本では、発明が「自然法則を利用した技術的思想の創作」であれば特許の対象になります。

そのため、「コンピュータによる具体的な情報処理」「サーバやネットワークを用いた技術的な処理」「コンピュータの機能を具体的に利用する情報処理」

として評価されれば、「発明」に該当する可能性があります

まとめ

知的財産管理技能検定1級では、米国特許法を細かく暗記するよりも、「日本法との違い」を理解することが大切です。

特に次のポイントは優先して学習しましょう。

  • AIAによる先願主義への移行
  • グレースピリオド
  • IDS
  • Duty of Candor
  • Provisional Application
  • Continuation・Divisional・CIP
  • 特許期間
  • 特許適格性

これらを整理しておけば、外国特許法の問題にも対応しやすくなります。

他にもこちらに知的財産の記事をまとめていますので、良かったらどうぞ。

  • この記事を書いた人

Lancer

現役の機械設計エンジニアです。 ロボット工学部卒業後、土木施工管理を経験し、現在は機械設計の仕事に従事しています。知的財産管理技能検定2級を取得。 現場と設計の両方を経験した視点から、建設業や機械設計、資格、働き方改善に役立つ情報を発信しています。 「実体験に基づいた分かりやすい情報」を心がけています。

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