製品設計や開発業務に携わる中で、
「この技術、他社に真似されないだろうか?」「図面って著作権あるの?」といった疑問を感じたことはありませんか?
実は、私はあります。
そんなとき、設計者として武器になるのが知的財産の知識と資格です。
今回は、知的財産を学ぶための代表的な資格やそのメリット、学習方法について解説します。
目次
1. 知的財産に強くなるための資格「知的財産管理技能検定」
知的財産を体系的に学べる国家資格が、
知的財産管理技能検定(IP技能検定)です。
検定の特徴
- 国家資格(技能検定制度)
- 3級・2級・1級の3段階
- 毎年3回(2月・7月・11月)実施(年によって若干変わることもあるので検定のページを貼りますので確認してくださいね。)
国家試験知的財産管理技能検定Webページ ↓↓
https://www.kentei-info-ip-edu.org/exam/schedule/
各級のレベル感
級 | レベル | 対象 |
---|---|---|
3級 | 基礎レベル | 初学者、設計・開発部門の若手 |
2級 | 実務応用 | 特許出願の判断、契約チェックができるレベル |
1級※ | 高度実務 | 特許戦略や出願判断を主導できるレベル |
※1級は高度なので本業でない限り取得する必要はないと感じています。2級まで頑張るとだいぶ理解度上がります。
2. この資格を取るメリットとは?
設計者にとっての実利
メリット | 解説 |
---|---|
製品や技術を守れる | 設計技術が特許・意匠・著作権などで保護される仕組みが理解できる |
他社の特許を回避できる | 事前に競合の特許を調査・意識することで設計変更のリスクを減らせる |
図面やマニュアルの著作権管理 | 設計図の社外持ち出しや流用時のリスクを把握できる |
社内評価が高まるかも | 特許事務所の方とのやり取りがスムーズになる 設計メンバーとしての信頼度アップ |
将来的に特許出願・調査業務にも関われる | 自分のアイデアを守る視点を持てるようになる |
個人的には、特許事務所の方とのやり取りがスムーズになることと、他社特許侵害のリスク回避が活躍頻度高めな気がします。
3. 勉強法とおすすめの教材(2級・3級)
3級の勉強法(初心者向け)
方法 | ポイント |
---|---|
テキスト学習 | 見開き形式で用語を覚えるのが◎ 法律の条文より「意味と使いどころ」を意識 |
過去問演習 | 出題傾向が似ているので、過去3年分を繰り返すのが効果的 |
スキマ時間の暗記 | スマホアプリで用語チェックや○×問題を活用するのもおすすめ |
おすすめ書籍・アプリ:
私が使用して1発で合格できた組み合わせです。
・『CBT模擬試験付き 2025~2026年版 知的財産管理技能検定®3級 テキスト&過去問題集』(著者:宇田川貴央)
・スマホアプリ「秒トレ 知財検定3級(iOS/Android)」(有料ですがスキマ時間に有用です!)
https://byoutore.com/byoutore/chizai/
2級の勉強法(ちゃんと理解したい向け)
方法 | ポイント |
---|---|
法律理解+事例の暗記 | 「どんな場面でこの法律が使えるか?」という実務イメージが大事 |
判例やトラブル事例で理解 | 例えば「意匠登録したのに模倣された」など、現場で起こりうる話から入ると覚えやすい。有名どころはポパイネクタイ事件とか。 |
記述対策(学科+実技) | 実技では「権利化の要否判断」など、記述対策が必要。 |
おすすめ教材:
2級は少し苦戦しました。いろいろな本を読みすぎたせいかもしれませんが、合格するためには過去問を集中的にやれば問題ないと思います。
・『知財検定テキスト&過去問題集2級 知的財産管理技能検定 2024~2025年版/宇田川貴央』
・『知的財産法 (ビジネス法体系) / 田中浩之/著 松井佑樹/著』
その他、図書館で特許法関連の本を読み漁っていました。
4. まとめ|設計者が知財を学ぶ意味とは?
設計者が知的財産を学ぶと、「良い製品をつくる」だけでなく、
「それを権利として守り、活かす」視点が加わります。
これは、自分やチームの技術を資産として残す力であり、
会社にとっても重要な「知的資本」となります。
教養としても生かせる場面が多い知識ですから、ぜひ取得してみてはいかがでしょうか。
こんな方に特におすすめ!
- 自社の製品を「特許で守れるか知りたい」
- 他社製品の権利を侵害せずに設計したい
- 将来、設計+知財のハイブリッド人材になりたい
- 技術の価値を正しく伝えられるようになりたい
- 会社に知的財産部がなく、会社の将来が心配だ (私はこれが理由でした)
参考リンク
- 知的財産管理技能検定 公式サイト:https://www.kentei-info-ip-edu.org/
- 特許情報プラットフォーム(J-PlatPat):https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
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