機械設計

動力変換の式で見かける定数「6120」「367」「0.06」の意味

数字の意味

まずは結論から記述しましょう。

「6120」は[kgf・m/min]を[kW]に変換するときに必要な数字です。

「367」と「0.06」は「6120」を分解した値となっています。

どの数字にも単位はありません。

変換の方法

では[kW]を[kgf・m/s]に変換する流れを見ていきましょう。

1 [kW] ⇒ 1000 [W] ⇒ 1000 [J/s] ⇒ 1000 [N・m/s]
   ⇒ 1000×1/9.807 [kgf・m/s] ⇒1000×1/9.807×60 [kgf・m/min]

ここで、1/9.807 ≒ 0.102なので

1000×0.102×60 [kgf・m/min] ⇒ 6120 [kgf・m/min]

従って、以下のことが言えます。

  • 1 [kW] = 6120 [kgf・m/min]
  • 1 [kgf・m/min] = 1/6120 [kW]

普段は〇kgf・m/minの単位系で計算して、最後にkWに変換するので

〇kgf・m/minに1/6120を掛けて〇kWと表現する場合があります。

1[kW] ⇔ 1000[W] の時と同じ考え方です。

1000[W]を[kW]で表現したい時は1/1000を1000[W]に掛ければ1[kW]に変換できますよね。

「367」と「0.06」について

1/367(1/367.2)という数字については、[kW] ⇔ [tf・m/h]の時に使います。

0.06という数字は、[tf・m/h] ⇔ [kgf/min]の時に使います。

では、導出方法を見てみましょう。

1 [kW] = 1000×0.102×60 [kgf・m/min] ⇒ (1000×0.102×60)×60×1/1000 [tf・m/h]
⇒ 367.2 [tf・m/h]

従って、以下のことが言えます。

  • 1 [kW] = 6120 [kgf・m/min] = 367.2 [tf・m/h]
  • 1 [tf・m/h] = 60/1000 [kgf・m/min] = 1/367.2 [kW]

ここで、[tf][kgf] に変換するときは1/1000倍し、 [h][min] に変換するときは60倍します。

[tf・m/h] を意識して、 [kgf・m/min][kW] に変換するときでも、単純に1/6120と記述せずに、0.06/367.2と記述する場合もあります。

使いどころ

  • ベルトコンベヤの所要動力計算
  • 電動ホイストの所要動力
  • ポンプや送風機の所要動力計算 ......等

上記のように、必要な動力を計算する際に出てくる数字となっています。

まとめ

実務で使用する数式には一見どこから出てきた数字なのかわからない定数がいくつかあります。

このような定数は、単位を揃えるためのものである可能性が高いので、一度確認してみてはいかがでしょうか。

実務で一般的に使用する数字をそのまま式に入れるためにわざわざ単位を変えて数式を作っているので、使いやすい一方、かっこよくはない式となっているのです。

数式を覚えるのにも、なぜそうなっているか知らないともやもやしますよね。

そんなもやもやをこれからも解消する手助けができればと思います。

理由を知ると数式を説明できるので信頼される技術者に一歩近づくことができます。

他にも機械設計に役立つ情報をこちらでまとめていますのでよかったらご参照ください。

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今後ともよろしくお願いします。

  • この記事を書いた人

Lancer

機械設計のサラリーマン。 ロボット工学部→土木施工管理→機械設計。 家庭と仕事の両立のために働き方の改善をしようと日々奮闘中。 仕事と子育てに役立つ情報&趣味の英語を発信しています!!

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