製品設計や技術開発に関わるエンジニアの皆さん、「この技術、特許にするべきかどうか」で迷った経験はありませんか?
実は、特許を取ること=最適な知財戦略とは限りません。
「リバースエンジニアリング」の恐れがない時は「営業秘密」という選択肢があります。
この記事では、設計の人こそ知っておきたい営業秘密の活用についてわかりやすく解説します!
目次
営業秘密とは
営業秘密とは、以下の3つの条件を満たした「企業にとって価値のある秘密情報」のことです。
| 条件 | 説明 |
|---|---|
| ① 非公知性 | 一般に公開されていない |
| ② 有用性 | 事業活動に有益である |
| ③ 秘密管理性 | パスワードや社外秘表示などで管理されている |
つまり、ただの社内資料ではNG。きちんと秘密として管理していることが法的な保護の前提です。
なぜ営業秘密が設計現場に有効なのか
設計・開発の現場では、図面には書かれない“ノウハウ”や“条件”こそが競争力だったりします。
たとえば…
- 特殊な製造条件(温度、時間、圧力)
- 組立手順や治具の細かな調整ポイント
- ソフトウェアのコードやパラメータ設定
- 原材料の配合比や供給業者情報
これらのような情報はリバースエンジニアリングで簡単に解明できないため、特許で公開するより営業秘密として守った方が安全な場合があるのです。
特許との違い
| 項目 | 特許 | 営業秘密 |
|---|---|---|
| 保護期間 | 約20年 | 管理している限り無期限 |
| 公開 | 必ず公開 | 非公開(社内限定) |
| 対象 | 発明、アイデア | 技術、ノウハウ、情報全般 |
| 管理の手間 | 審査・出願が必要 | 社内体制で管理する |
| メリット | 独占権を得られる | 他人に知られなければ保護が続く |
でも、秘密管理しないと意味がない!
営業秘密は「ちゃんと秘密として管理していること」が命です。
次のような管理を怠ると、法律で保護されません。
- ファイルに「社外秘」や「Confidential」などの明記
- 社内システムでのアクセス制限
- 社員・外注先との秘密保持契約(NDA)
- 退職時の誓約書の取得
実際に営業秘密が無効となった例が、こちらのWebページで詳しく解説されていましたので、参考にリンク貼っておきます。
設計現場での使いどころ(例)
| 技術の種類 | 営業秘密での保護が向いている例 |
|---|---|
| 製造条件 | 焼結温度、保持時間、冷却方法 |
| 材料情報 | 特殊配合比、原材料の選定 |
| 組立手順 | 治具の位置、締付けトルクなど |
| プログラム | 製品固有の制御コード、設定ファイル |
| 技術文書 | マニュアルの未公開部分、社内基準書、計算書 |
これらは他社に模倣されるリスクが高いため、特許で公開するのではなく「営業秘密」として守るのが戦略的です。
まとめ
設計現場では、「技術をどう守るか?」が競争力を左右します。
特許で保護すべきか、営業秘密で守るべきか。
その判断をするためには、知財の知識と戦略眼が欠かせません。
「知財=特許」と思い込まず、ぜひ営業秘密という強力な選択肢を活用してみてください!
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