知的財産

【設計者向け】特許だけじゃない!リバースエンジニアリング対策には「営業秘密」という選択肢

製品設計や技術開発に関わるエンジニアの皆さん、「この技術、特許にするべきかどうか」で迷った経験はありませんか?

実は、特許を取ること=最適な知財戦略とは限りません
とくに「リバースエンジニアリング(製品の分解解析)」で内容を解明される恐れがある今、設計の現場で注目されているのが「営業秘密」という選択肢です。

この記事では、設計現場でこそ知っておきたい営業秘密の活用術をわかりやすく解説します!


🔍 そもそも営業秘密とは?

営業秘密とは、以下の3つの条件を満たした「企業にとって価値のある秘密情報」のことです。

条件説明
① 非公知性一般に公開されていない
② 有用性事業活動に有益である
③ 秘密管理性パスワードや社外秘表示などで管理されている

つまり、ただの社内資料ではNG。きちんと秘密として管理していることが法的な保護の前提です。


🧩 なぜ営業秘密が設計現場に有効なのか?

設計・開発の現場では、図面には書かれない“ノウハウ”や“条件”こそが競争力だったりします。
たとえば…

  • 特殊な製造条件(温度、時間、圧力)
  • 組立手順や治具の細かな調整ポイント
  • ソフトウェアのコードやパラメータ設定
  • 原材料の配合比や供給業者情報

これらのような情報はリバースエンジニアリングで簡単に解明できないため、特許で公開するより営業秘密として守った方が安全な場合があるのです。


⚖️ 特許との違いを比較

項目特許営業秘密
保護期間約20年管理している限り無期限
公開必ず公開非公開(社内限定)
対象発明、アイデア技術、ノウハウ、情報全般
管理の手間審査・出願が必要社内体制で管理する
メリット独占権を得られる他人に知られなければ保護が続く

🧱 でも、秘密管理しないと意味がない!

営業秘密は「ちゃんと秘密として管理していること」が命です。
次のような管理を怠ると、法律で保護されません

  • ファイルに「社外秘」や「Confidential」などの明記
  • 社内システムでのアクセス制限
  • 社員・外注先との秘密保持契約(NDA)
  • 退職時の誓約書の取得

実際に営業秘密が無効となった例が、こちらのWebページで詳しく解説されていましたので、参考にリンク貼っておきます。


🎯 設計現場での使いどころ(例)

技術の種類営業秘密での保護が向いている例
製造条件焼結温度、保持時間、冷却方法
材料情報特殊配合比、原材料の選定
組立手順治具の位置、締付けトルクなど
プログラム製品固有の制御コード、設定ファイル
技術文書マニュアルの未公開部分、社内基準書、計算書

これらは他社に模倣されるリスクが高いため、特許で公開するのではなく「営業秘密」として守るのが戦略的です。


✅ まとめ

設計現場では、「技術をどう守るか?」が競争力を左右します。
特許で保護すべきか、営業秘密で守るべきか。
その判断をするためには、知財の知識と戦略眼が欠かせません。

「知財=特許」と思い込まず、ぜひ営業秘密という強力な選択肢を活用してみてください!


👀 今後も機械設計に役立つ知財・技術戦略の情報を発信しています。よかったら他の記事もぜひご覧ください!

  • この記事を書いた人

Lancer

機械設計のサラリーマン。 ロボット工学部→土木施工管理→機械設計。 家庭と仕事の両立のために働き方の改善をしようと日々奮闘中。 仕事と子育てに役立つ情報&趣味の英語を発信しています!!

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