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目次
SS400許容応力度
設計者として覚えておきたい数字があります。
SS400の短期・長期許容応力度についてまとめます。
- 引張と曲げの短期許容応力度 :235N/mm2
- せん断の短期許容応力度 :135.6N/mm2
- 引張と曲げの長期許容応力度 :156.6N/mm2
- せん断の長期許容応力度 :90.4N/mm2
軟鋼(SS400)の引張強度は400N/mm2で、最大応力とも、引張強さとも言う。引張強度は鋼材の持つ最大の強度。
ちなみに、引張と曲げの短期許容応力を基準として考えると
- 引張と曲げの短期許容応力度 :235N/mm2
- せん断の短期許容応力度 :235N/mm2÷√3=135.6N/mm2 or (90.4N/mm2×1.5)
- 引張と曲げの長期許容応力度 :235N/mm2÷1.5=156.6N/mm2
- せん断の長期許容応力引張度 :156.6N/mm2÷√3=90.4N/mm2 or (135.6N/mm2÷1.5)
最低でも235N/mm2さえ覚えていれば他の数字が曖昧でも導き出すことができます。
降伏強度と弾性限度
降伏強度は弾性限度の近似値で、同じものとして解釈しても差し支えはないですが、厳密には弾性限度の方が先です。
弾性限度は、材料が弾性変形をする限界の応力値です。
比例限度
比例限度内ではフックの法則が成り立ちますが、比例限度を超え弾性限度を超えない範囲では永久歪みは残らないものの、フックの法則は成り立ちません。
降伏点
降伏点は降伏耐力とも言うし、耐力とも言います。降伏点は鋼材が降伏した時の応力で、SS400だと245N/mm2です。
上降伏点がない金属の場合は0.2%の永久歪みが現れる点で定義されます。理由は炭素鋼の降伏点が0.2%付近に現れるから、これを基準としています。
ただし、ss400の降伏点(耐力)は板厚が厚くなれば小さくなります。
- 板厚16mm以下 :245N/mm2
- 板厚16~40mm :235N/mm2
- 板厚40~100mm :215N/mm2
ほとんどの場合使用する板厚は〜40mmで、頻繁に使用する板厚16mm以下よりも厳しい条件なので実務では235N/mm2を使います。
冒頭にまとめた引張と曲げの許容応力度の由来と考えています。
おまけ なぜ板の厚さで耐力が変わるのか
その理由は熱間圧延の冷却ムラよるものです。
鋼材の厚さが厚くなればなるほど、常温まで冷える時間に差が出るので、降伏点が下がります。
余談ですが
熱間圧延は、加工による硬化が生じない温度以上で圧延する方法です。
材料を高温にして軟化させて圧延します。(900°~1200°)
メリットは、小さい力で圧延でき、金属の結晶が強固になり、粘り強い金属になることです。
デメリットは、高温にするためのエネルギーが必要、熱膨張で寸法精度が落ちる、酸化膜ができて光沢のない表面になることです。
冷間圧延は常温のまま圧延する方法です。
メリットは、寸法精度が良く、光沢のある面になります。
デメリットは、加工性が熱間圧延よりも劣るので価格が高くなることです。
特に指定がなければ使うのは熱間圧延です。
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まとめ
設計者、技術者としてSS400の許容応力度は覚えておく必要があります。
数字を覚えるためにも、なぜそうなっているか知っているだけで理解の深さが変わります。
理屈を知ると”覚える”というより”理解”になるのでより記憶に定着することが皆さんの実体験でもわかると思います。
他のも機械設計に役立つ情報をこちらでまとめていますのでよかったらご参照ください。
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