「昔ながらの緩み止め」は科学的に正しいのか?
結論から言うと
条件が正しければ効く
ただし「なんとなく2個入れる」は意味がない
そうです。ダブルナットは理屈を理解していないと効果が出ません。
目次
ボルトが緩むメカニズムをおさらい
緩みには主に2種類あります
- 軸力低下型
- 回転緩み(横振動でナットが戻る)
ダブルナットが効くのは主に
👉 回転緩み対策 です。
ダブルナットの原理
普通の締結は下図の通りです。

ダブルナットのばあいは下図の通り、下ナットと上ナットがあります。

ここで重要なのは
ナット同士を“反力で噛ませる”こと
正しい締め方
手順
① 下ナットを規定トルクで締める
② 上ナットを締める
③ 下ナットを少し戻す(または上ナットを強く締める)
するとどうなるか?
上ナットは下ナットに押され、下ナットは上ナットに押されるので、お互い反発しようとします。
すると、互いのナットでねじ山のあたりが強くなるので、結果として
ねじ山同士が逆方向に押し合う
これで“摩擦が増える”のです。
なぜ緩みにくくなるのか?
通常、ねじは片側のねじ山だけが接触しています。
しかしダブルナットでは
- 上ナット:ねじ山下側接触
- 下ナット:ねじ山上側接触
という状態になり、ねじ面の遊びが消えるため、回転を抑制します。
効果はどれくらい?
Junker試験(横振動試験)では
- 単ナット:急激に軸力低下
- ダブルナット:軸力低下が遅い
ただし
高力ボルトの摩擦接合ほど強くはない
ということのようです。
よくある間違いとは
ただ2個入れるだけ
これでは
- 2個目はほぼ荷重を受けない
- 単なる“高さ増し”になる
これでは意味がほとんどありません。
両方を同じ方向に強く締める
これも効果が薄いです。
重要なのは
ナット同士を“押し合う状態”を作ること
です。
ダブルナットが向いている場所
- 低~中強度ボルト
- 振動環境
- 再分解が必要な箇所(ねじロックなどが使えないため)
向いていない場所
- 高力ボルト摩擦接合(ダブルナットは使用しません)
- 高精度軸力管理が必要
- クリアランスが限られる場所(ダブルナットではボルトの長さが必要なため)
ダブルナットと他の緩み止め比較
| 方法 | 横振動耐性 | 軸力保持 | 再使用 | 管理性 |
|---|---|---|---|---|
| ダブルナット | ◯ | ◯ | ◯ | △ |
| スプリングワッシャー | △ | △ | ◯ | ◯ |
| ナイロンナット※ | ◯ | ◯ | △ | ◯ |
| ねじロック剤 | ◎ | ◎ | × | △ |
| 高力ボルト摩擦接合 | ◎◎ | ◎◎ | × | ◎ |
※ナイロンナットについては、ものづくりのススメさんの記事が分かりやすいです。
本質的な理解
ここまでくれば、もう理解していただいたかもしれませんが、別の言い方をしてみます。
ダブルナットは、
「摩擦を増やす」のではなく
「ねじのガタを消して回転を抑える」
仕組みです。
まとめ
ダブルナットは、古く、原始的に見えますが、
原理を理解すれば、非常に合理的な方法
です。
ただし
正しく使わなければ“ただのナット2個”
になります。
現場で施工する際、図面で指示する際には上記のことを踏まえて取り組んでいきたいですね。
機械設計に役立つ情報をこちらでまとめていますのでよかったらご参照ください!
