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機械設計者が知っておくべき「使っていい設計・危険な設計」
機械設計をしていると、「とりあえずSS400で」という判断を一度はしたことがあるのではないでしょうか。
SS400は確かに扱いやすく、コストも安い優秀な材料です。
しかし、使いどころを間違えるとトラブルの原因にもなります。
本記事では、
- なぜSS400がよく使われるのか
- SS400を使ってよい設計・危険な設計
- SC材に切り替える判断基準
を設計目線で整理していきます。
なぜSS材はよく使われるのか
SS材が広く使われる理由は、性能よりも扱いやすさにあります。
なぜか?それは
- 入手性が非常に良い
- 材料単価が比較的安い
- 切断・穴あけ・溶接がしやすい
- 板・形鋼・丸棒など形状が豊富
JIS規格(JISG3101)上は引張強さが規定されていますが、化学成分は炭素とマンガンの上限規定がなく、降伏点は上限の規定がないため製品によって再現性に欠けます。
というように、厳密に管理されていない分、製造・流通コストが低いのです。
「強度のばらつきを許容できる部材」つまり、「強度を材料に頼らない部材」では非常に使いやすい。
それがSS400です。
※成分規定、降伏点の上下限など厳しく管理されたSN材(主に梁やフレームなどに使用する)もあります。
SS材を使っていい設計
SS400をはじめとするSS材は、以下のような低リスクの設計に向いています。
構造物・フレーム類
- 装置架台
- 機械フレーム
- 支持ブラケット
これらは形状(板厚・リブ・補強)で強度を確保できます。
応力が低く、変形しても致命的でない部品
- カバー
- 制御盤架台
- スペーサー
- 配管サポート
など、位置決めしない、摩耗・摺動しない、カバー類の部材です。
溶接構造が前提の設計
補強リブや、気密性が必要なシュートなど、ボルトで組み立てるのではなく溶接で一体化させるような物です。
SS材は溶接性が良い材料なので相性抜群です。
SS材を使うと危険な設計
一方、次のような場合はSS材の使用はリスクが高くなるので、大概はS45Cなどをまず考えます。
軸・ピンなどの小物部品
回転軸やシャフトです。
SS材は降伏点が明確ではないので、ロットによるばらつきがあるため
「同じ設計なのに折れる/曲がる」が起きやすい材料です。
繰り返し荷重がかかる部品
- レバー
- クランク
- 開閉機構部品
SS材は炭素成分の規定が無いこと、ロットによるばらつきがあることから疲労破壊を予想できないため、長期使用で突然破損するリスクがあります。
熱処理が必要な部品
SS材は炭素量が低く、焼入れによる効果を期待できません。
耐摩耗・耐疲労が必要なら不適です。
SC材(機械構造用炭素鋼鋼材)にすべき判断基準
S45CなどのSC材は機械部品向けの材料です。
次の条件に当てはまる場合は、SC材を検討すべきです。
- 強度を材料特性に頼りたい
- 繰り返し荷重がある
- 焼入れ・高周波焼入れを行いたい
「材料で性能を担保したい」ならSC材です。
疲労強度のデータが豊富にあること、熱処理の効果が期待できること、成分規定があることから信頼できます。
ただし、モーター軸のような高負荷のかかる箇所にはSCM(機械構造用合金鋼)を使用します。
SS材とSC材の比較表
| 項目 | SS材 | SC材 |
|---|---|---|
| 材料区分 | 一般構造用圧延鋼材 | 機械構造用炭素鋼 |
| 強度の安定性 | 低い | 高い |
| 降伏点保証 | なし | あり |
| 熱処理 | 不可 | 可 |
| 溶接性 | 良好 | 注意が必要 |
| 材料単価 | 安い | やや高い |
| 向いている用途 | フレーム・構造物 | 軸・ピン・機械部品 |
まとめ
SS400をはじめとする、SS材は決して「悪い材料」ではありません。
ただし、万能な材料ではない
という点を忘れてはいけません。
形状で強度を出すならSS400を使う。
材料で勝負するならS45Cなどを検討する。
この使い分けができるかどうかで、設計の信頼性・トラブル率・コストは大きく変わります。
「とりあえずSS400」から一歩進んで、「なぜこの材料なのか」を説明できる設計者を一緒に目指していきましょう!
また、機械設計者のバイブル本は持っておきましょう。↓↓
他にも機械設計に役立つ情報をこちらでまとめていますのでよかったらご参照ください!

