鉄鋼材料の特徴と、SN材が生まれた背景を解説します。
機械設計や設備フレーム、架台設計でよく目にするSS材・SM材・SN材。
図面では当たり前のように指定されていますが、
何がどう違うのか。
なぜSN材は建築分野で重視されるのか。
コストが高くても使われる理由は何か。
本記事では、それぞれの特徴・用途・コスト感に加え、
SN材が開発された背景(阪神・淡路大震災)まで含めて解説します。
目次
SS材とは(一般構造用圧延鋼材)
概要
SS材(SS400など)は、最も広く使われている汎用鉄鋼材料です。
- JIS G 3101で規定
- 主に引張強さのみ規定
- 化学成分や靭性の規定は緩い
特徴
- 安価で入手性が良い
- 加工・切断・溶接が容易
- 材料ばらつきが比較的大きい
主な用途
- 機械架台
- 装置フレーム
- 強度に十分な余裕がある一般構造物
「とりあえず使えるが、設計者の判断が重要な材料」と言えます。
ただ、機械設計で使う架台などほとんどの場合はSS材で十分であると私は考えます。ちゃんとJIS規格ですからね。
SM材とは(溶接構造用圧延鋼材)
概要
SM材(SM490など)は、溶接構造を前提に設計された鋼材です。
- JIS G 3106で規定
- 降伏点・引張強さを明確に規定
- 成分管理がSS材より厳しい
特徴
- 強度が安定している
- 溶接性が良好
- 靭性も一定水準で保証される
主な用途
- 溶接構造物
- プラント設備
- 強度計算を伴う機械フレーム
「設計計算を前提に安心して使える材料」がSM材です。
SN材とは(建築構造用圧延鋼材)
概要
SN材(SN400、SN490など)は、建築構造専用として開発された鋼材です。
- JIS G 3136で規定
- 建築基準法との整合を重視
- 強度・靭性・溶接性・品質管理が非常に厳しい
SN材が開発された背景:阪神・淡路大震災
1995年の阪神・淡路大震災では、多くの建築物で鉄骨部材の破断が問題となりました。
強度は足りていたが、靭性不足により脆性的に破壊した。
さらに溶接部の破断が被害を拡大した。
この反省から、「強いだけでなく、粘り強く壊れる材料」
が求められ、品質と性能を明確に保証する鋼材としてSN材が開発されました。
SN材の特徴(他材との決定的な違い)
- 降伏点・引張強さを明確に規定
- シャルピー衝撃試験による靭性保証
- 材料ロット管理が厳格
- 溶接割れ防止を考慮した成分管理
地震時に「いきなり折れない」ことを前提とした材料です。
SS材・SM材・SN材の比較
| 項目 | SS材 | SM材 | SN材 |
|---|---|---|---|
| 主用途 | 一般構造 | 溶接構造 | 建築構造 |
| 強度規定 | 緩い | 明確 | 明確 |
| 靭性保証 | なし | 一部あり | 厳格 |
| 溶接性 | 材質次第 | 良好 | 非常に良好 |
| 品質管理 | 緩い | 中 | 非常に厳しい |
費用(コスト)比較の目安
※経験的目安です。
- SS材:最も安価(基準)
- SM材:SS材の約1.1~1.3倍
- SN材:SS材の約1.3~1.6倍
SN材は、
- 試験
- 品質管理
- トレーサビリティ
にコストがかかるため高価ですが、
「安全性と説明責任を含めた材料」と考えるべきです。
設計者としての材料選定の考え方
- 機械架台・設備フレーム
→ SS材またはSM材 - 強度計算・溶接品質重視
→ SM材 - 建築物・耐震性能が求められる構造
→ SN材
材料選定は、
「安さ」ではなく「壊れ方」と「社会的影響」まで含めて判断しなければなりません。
まとめ
- SS材:安価で汎用、設計者の判断が重要
- SM材:溶接構造向け、強度が安定
- SN材:震災を教訓に生まれた、安全最優先の鋼材
特にSN材は、
「なぜこの材料を使うのか説明できる設計者かどうか」が問われます。
私の場合、これまでのところ、ほぼSS材を使っていますが。。
ただ、材料の違いを理解することは、設計者としての信頼性を高める第一歩だと思います。
私も一歩ずつ前進したいと思います。
他にも機械設計に役立つ情報をこちらでまとめていますのでよかったらご参照ください。
