製品開発の現場で、「特許」「意匠」「商標」などの言葉を耳にすることはありませんか?
それらはすべて「知的財産」に関わるもので、設計者が知っておくことで製品や企業の競争力を守る武器になります。
この記事では、設計現場での“知財の使いどころとなぜそれが重要なのかをわかりやすく解説します。
目次
「知的財産」とは?
知的財産とは、アイデアやデザインなど「形のない価値あるもの」を保護する法律上の仕組みです。
たとえば、新しい機構、製品デザイン、製品名なども知財として登録・保護できます。
これにより、自社の技術やブランドを他社に真似されるのを防ぐことができます。下記に関連する法律をまとめておきます。
🧩 設計者のための知的財産関連法一覧表
法律名 | 保護対象 | 概要 |
---|---|---|
特許法 | 発明・技術的アイデア | 新しい技術・構造・仕組みなどを20年間保護。設計段階の技術提案が対象に。 |
実用新案法 | 小発明・改良アイデア | 小規模な工夫・改良を10年間保護。構造のちょっとした工夫にも適用可能。 |
意匠法 | 製品のデザイン・形状・GUI | 工業製品の外観や画面デザインを25年間保護。設計段階での見た目の工夫が対象。 |
商標法 | 商品名・ロゴ・ブランド | ネーミングやロゴを保護し、他社に模倣されるのを防止。製品名・サービス名に関係。 |
著作権法 | 図面・設計書・マニュアル・ソフト | 創作性ある図面やマニュアル、設計資料に自動的に権利が発生。登録不要。 |
不正競争防止法 | 営業秘密・形状模倣・虚偽表示など | 登録していない技術・ノウハウの流出や模倣を防止。パクリ対策や秘密情報の保護に使える。 |
回路配置法(半導体集積回路の回路配置に関する法律) | IC回路レイアウト | ICやLSIの配線パターンの創作的配置を10年間保護。電気設計系エンジニアに必須。 |
営業秘密管理指針(法律ではないが企業内で重要) | ノウハウ・設計データ | 自社内の秘密情報(設計仕様書、試作情報など)を管理するためのガイドライン。 |
📝 備考
設計者は、「見た目・中身・名前・秘密」すべてに知財が関係することを理解しておくと、より価値ある設計ができます。
「特許法〜意匠法」などは登録することで保護が得られます。
「著作権法」「不正競争防止法」などは登録しなくても発生・保護可能。
設計現場での「使いどころ」とその理由
✍️ 特許権:技術的アイデアの保護
- 使いどころ:新機構や独自構造を設計したとき
- 理由:真似されずに優位性を保てる。後で侵害を問われない安心材料に(特許申請しなくとも開発時に調査したほうが良い)。リバースエンジニアリングで構造が解明されてしまうものに適用するほうが良い。解明されない技術は営業秘密として管理すれば期間に関係なく保護できる。
🎨 意匠権:製品外観の保護
- 使いどころ:製品デザイン、GUI、外装など
- 理由:差別化が図れ、価格競争を避けやすい。
🏷 商標権:ネーミングの保護
- 使いどころ:商品名・ブランド名の設計段階
- 理由:ブランドの信頼を守り、模倣や混同を防げる。
📄 著作権:図面・マニュアルの保護
- 使いどころ:CAD図や技術資料、マニュアルなどの作成時
- 理由:勝手に使用される等、侵害された場合対応できる。公表資料などで自分が他人の著作権を侵害してしまうリスクも回避できる。
まとめ:知財を活かせる設計者が強い!
日々の設計業務の中で「これは知財にできるか?」「他社に侵害してないか?」と考える習慣を持つことで、設計の価値は格段に高まります。
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