材料力学 mechanical design

なぜボルトは「せん断で使ってはいけない」のか

本当に危険なのはどこか?

機械設計や構造設計でよく言われること。

「ボルトはせん断で使うな」

ですが現実には、

  • ブラケット固定
  • フランジ接合
  • 構造部材接合

などで普通にせん断力がかかっています。

ではなぜ「ダメ」と言われるのでしょうか?

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結論

まず結論です。

ボルトは“せん断で壊れるからダメ”ではない
「滑り・ガタ・疲労」が問題

です。※高力ボルトは締結の仕組みが違うので別として考えてください


本来のボルトの使い方

ボルトの基本は

軸力(締め付け力)で部材を押さえつけること

です。


せん断で使うと何が起きるか

多くのば部材同士の摩擦では足りなくなるので、ボルトに直接せん断力がかかります。

ここから問題が始まります。


ガタ(クリアランス)が発生する

ボルトと穴の関係

穴 > ボルト径

なので

必ず隙間(クリアランス)があります。

せん断力がかかると

衝撃 → 移動 → 当たる

つまり

微小な衝撃・ズレが発生

するのです。


緩みが発生する

この横方向の動きが

  • ナットの回転
  • 軸力低下

を引き起こします。

これがボルトが緩む原因の本質です。


疲労破壊が起きる

これが一番危険です。

せん断で使うと

当たる → 離れる → 当たる

という繰り返しになります。

すると

「ボルトに繰り返し応力」「応力集中(ねじ谷)」

が発生し、疲労破壊につながります。


せん断強度は思ったより弱い

ボルトは

軸方向(引張)には強いが、せん断には弱い。

特にねじ部でせん断を受けると一気に弱くなります。


よくある誤解

「太いボルトなら大丈夫」

これは関係ありません
→ ガタ・疲労は防げないからです。


「せん断荷重=ボルトで受けるもの」

ボルト接合は、本来は

摩擦で受けるものです。


じゃあどう設計すればいいか?

対策はシンプルです。

摩擦で受ける設計にする

  • 適切な締結力(軸力)
  • 高力ボルト使用

滑らせないようにすること

高力ボルトなんかはまさにそうですね。


位置決めは別でやる

せん断をボルトにやらせない

→ノックピンを使用するなど、軸で受ける

位置決め専用部品を使ったり、隙間の少ない軸で受けるようにすることで衝撃荷重を軽減できる


ねじ部にせん断をかけない

ボルトのねじのない軸部で受けることで応力集中を免れます。


せん断で使う設計もある

実はあります。


せん断ボルト設計

  • シャンク部(ボルトのねじのない部分)で受ける
  • 精度の高い穴
  • ガタなし設計

をすれば上記の問題をクリアできます。


高力ボルト(摩擦接合)

摩擦接合のため、ボルトにせん断力がかかりません。

ただし、 滑ったら終わりです。


まとめ

「ボルトはせん断で使うな」の本当の意味

せん断=即破断ではなく
ガタ・緩み・疲労が問題

ポイントととして

  • ボルトは摩擦で使う
  • せん断は避ける
  • 位置決めは別部品

ボルトは、

「締める部品」であって「支える部品ではない」

ここを間違えると

緩み、異音、破断につながります。

機械設計に役立つ情報をこちらでまとめていますのでよかったらご参照ください!

  • この記事を書いた人

Lancer

現役の機械設計エンジニアです。 ロボット工学部卒業後、土木施工管理を経験し、現在は機械設計の仕事に従事しています。知的財産管理技能検定2級を取得。 現場と設計の両方を経験した視点から、建設業や機械設計、資格、働き方改善に役立つ情報を発信しています。 「実体験に基づいた分かりやすい情報」を心がけています。

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